社内で意識するようになった女性
僕が初めて社内の女性に特別な感情を持つようになったのは、2年前のことです。
その女性は別部署に所属し、普段は挨拶程度しか交わさない存在でした。
ただ、ある会社の飲み会の席で彼女と偶然隣に座ったことをきっかけに、その距離は一気に縮まりました。
その夜、彼女は少し酔っていて、僕の腕にそっと寄り添ってきたのです。
家庭での関係に悩み、不満を抱えていた僕にとって、それは久しぶりに「女性らしさ」を意識する瞬間でした。
控えめながらも華やかさのある彼女の様子に、胸の奥がざわめき、忘れていた感覚が呼び起こされたのを覚えています。
しかし、その場では理性が勝ち、連絡先を聞くこともせずに帰宅しました。
帰り道、そして家に戻った後も、彼女の存在が頭を離れず、自分の中で何かが変わり始めているのを感じていました。
徐々に近づいていく関係
翌日からも、仕事の場では何事もなかったように振る舞っていましたが、心の中では彼女を意識せずにはいられませんでした。
そんな中、ある日、彼女から「相談があるんだけど…」と声をかけられました。
期待と不安が入り混じる気持ちで応じると、内容は職場の男性からのしつこい連絡についての悩みでした。
相談相手として駐車場の車中で話を聞く中で、僕たちは以前よりも自然に会話ができるようになっていきました。
次第に人目を避け、静かな場所でゆっくり話をするようになり、互いのプライベートな話題にも触れるように。
相談に乗るという名目でしたが、その時間は僕にとって癒やしであり、気づけば会う頻度が増えていました。
特別な時間と絆
やがて彼女の相談も解決に向かい、会う理由がなくなりつつある中で、僕たちは自然に「ただ一緒にいる時間」を楽しむようになりました。
何気ない会話、少しの沈黙、そして時折交わす笑顔――そうした時間が、僕にとって大きな安らぎになっていました。
次第に「二人だけの空間」が心地よいものとなり、社内では見せない彼女の素の表情や仕草に、ますます惹かれていきました。
家庭では感じることができなかった「素直な気持ちで向き合える時間」が、ここにはあったのです。
すれ違いと終わりのとき
しかし、半年が過ぎた頃から状況は変わり始めました。
仕事の忙しさや金銭的な負担が重なり、僕は徐々に彼女との連絡を後回しにするようになりました。
その間、気晴らしのための趣味に時間を割くようになり、彼女との時間を以前ほど大切にできなくなっていました。
彼女も少しずつその変化に気づいていたのでしょう。会うたびに、どこかぎこちない空気が漂うようになっていきました。
僕自身も、彼女の存在が「癒し」から「負担」へと変わりつつある自分に気づいていました。
そして、交際が1年を過ぎた頃、僕は趣味に没頭していたことを正直に打ち明けました。
彼女は静かに「そういう人はちょっと苦手かもしれない」と言いました。
その一言がきっかけとなり、これまで重ねてきた時間に静かに幕を下ろすことになりました。
振り返って思うこと
振り返ると、この経験は自分の心の弱さや孤独感を埋めるためのものであったのかもしれません。
当時、家庭では解消できなかった不満や寂しさが、彼女と過ごす時間に癒やしを求めさせたのだと思います。
ただ、そこで得られる安心感は一時的なものであり、本当の解決には至らなかった――それが今だからこそ言えることです。
彼女との関係は終わりましたが、この出来事を通じて「人間関係の難しさ」と「自分の感情の弱さ」に改めて気づかされました。